キャピタルゲインと不動産不況

2024年10月31日

キャピタルゲインと経済不況

 

突然起こる自然災害で最も恐ろしいのは地震かもしれません.

近年異常な集中豪雨によって世界中で洪水が発生し大きな被害が発していますが、日本においては頻繁に起きる大地震によるインフラの破壊、住宅,ビルの倒壊、火災、津波,地震で多くの方が死傷しています。

地震の予知は不可能と言われています。

地震は突然起きる災害です。

 

経済においてもこれらの大地震に似たような突然の経済の破綻、株式の暴落、不動産価格の暴落が有ります。

近年で最も大きな経済の破壊はリーマンショックでした

 

平成2年の株価暴落から始まった平成不況は長く厳しい時代でしたが、不動産は都心の商業地から回復し、以前より高値で取引されていますが、地方に行くと都心の様な回復が無いばかりが下がりっぱなしの状況が有ります。

不動産の収益を見ても、港区、千代田区、中央区では収益率が2から4%で取引されるのに地方では、10%から20%という状況が有ります。

 

こうした現象の最も大きな原因は、都心の人口増加、インフラ整備、超高層ビルの建設で有り、これを支えているのが511兆円の内部部留保資金を持つ三井、三菱を筆頭とする日本の巨大上場会社です。

 

こうした企業は、多少の景気の落ち込みぐらいではその保有資産を手放すことは有りません。

ニューヨークはマンハッタン島が岩盤である為に早くから超高層ビルが建設されましたが、日本の大都市東京、大阪は河川が運んだ土砂の沖積地の平野部である為に地盤が弱く、地震の多発する日本では超高層ビルの建設は困難だったようですが、近年の建築技術の向上から日本でも40階、50階建てのビルが作られるようになりました。

(日本では1970年の昭和45年に三井不動産によって作られた霞が関ビルが始まりです。)

 

経済力の根源に資金力、経営力が有ります。安定した経営ができる大企業にとって、本社ビルと保有資産はキャピタルゲインを目的とする資産ではなくビジネスをするための資産であり、100年後も保有し続ける資産ですから、資金が無くなったから売却する、売却益が出るから売却するという資産ではないという特徴があり、こうした企業が立地する丸の内、大手町、京橋、日本橋の不動産価格は崩れることが無いのが特徴です。

 

半面、地方都市の資産保有の方の財力には限界があり、地方の中小企業も経済の不況期に資金繰りのために保有不動産の売却の必要性があり、不況期には安くても不動産を売却せざるを得なくなります。

 

こうした観点からみると、不動産の価格安定性は都心の一等地が最も良いことになります。

近年、地方の資産家が都心のマンションの購入と共に小さめのビルの購入と区分所有の事務所、店舗の購入が多くなっているのはこうしたことに原因かと思います。

 

2024年10月30日  不動産コンサルティングマスター 遠藤文雄

 

丸の内

日本橋再開発ビル